格子構造の設計を始めたころ、私は静的圧縮試験のデータさえあれば十分だと思っていた。圧縮剛性、降伏点、エネルギー吸収量——それらの数字が手元に揃えば、設計判断のほとんどは下せると信じていたのだ。その思い込みが崩れたのは、振動試験台の上に置いたBCC格子が、静的試験では何も問題のなかった荷重域で突然亀裂を走らせた瞬間だった。あの音は今でも耳に残っている——金属疲労特有の、くぐもった破砕音。それ以来、私は「静的特性値」と「動的特性値」の間に横たわる深い溝を、できる限り具体的に理解しようと取り組んできた。このエッセイは、その試みの記録だ。

静的圧縮試験で何が測れて、何が測れないか

静的圧縮試験は、ユニバーサル試験機でサンプルをゆっくりと——一般的にはひずみ速度10⁻³ s⁻¹前後で——押しつぶしながら、荷重とひずみの関係を記録する。ここで得られる弾性率(ヤング率)、降伏応力、プラトー応力、エネルギー吸収効率といった数値は、格子トポロジーの比較やパラメータスタディには非常に有効だ。たとえば、相対密度30%のチタン合金BCC格子では、静的圧縮弾性率がおよそ2.1〜2.8 GPa、降伏応力が65〜80 MPa程度という値が報告されており、こうした数字は積層造形パラメータの評価や、異なるトポロジー——BCC、FCC、ジャイロイドTTPMS——の一次選定に使える。しかし静的試験が答えられない問いがある。それは「この構造は繰り返し荷重の下でどれだけ長く生き続けられるか」という問いだ。静的試験は一回きりの出来事を記述するが、現実の振動環境は何万回、何百万回という往復荷重を格子に刻みつける。

動的荷重試験が明かす疲労寿命と損傷蓄積のメカニズム

動的荷重試験——疲労試験と動的機械分析(DMA)の両方を含む——は、静的試験とはまったく異なる物語を語る。疲労試験では、たとえば最大応力を静的降伏応力の50%(35〜40 MPa程度)に設定したS-N曲線上でも、10⁶サイクル到達前に破断するサンプルが現れることがある。DMAではさらに微妙な変化が見える——貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E'')の比、すなわち損失正接(tanδ)の変化が、疲労損傷の蓄積を示す早期指標として機能するからだ。私たちがアルミニウム合金AlSi10Mgのジャイロイド格子で行った試験では、10⁴サイクル時点でtanδが初期値比で約18%上昇し、その後急激な剛性低下が観察された。静的試験では「健全」と判断されたサンプルが、動的環境では損傷を内部に蓄積し続けていたのだ。

特性値のギャップ——なぜ静的と動的でこれほど差が出るのか

この差異は主に三つの要因から来ている。第一は応力集中の問題だ。格子のストラット接合部(ノード)は幾何学的不連続点であり、静的荷重下ではその周辺が塑性変形して応力を再分配できる——いわば「逃げ道」がある。しかし繰り返し荷重では、この塑性再分配の余裕が使われてしまう前に微小亀裂が核生成し、サイクルごとに進展する。第二は積層造形(AM)特有の表面粗さと内部欠陥だ。ストラット表面の未溶融粉末や微小ポロシティは、静的試験では弾性率をわずかに下げる程度の影響しか与えないが、疲労き裂の起点として致命的に作用しうる。第三は固有振動数の問題——後のセクションで詳述するが、動的荷重の周波数が格子の固有振動数と一致した場合、入力エネルギーが構造内に共鳴的に蓄積され、静的解析では想定外の大きな応力振幅が生じる。

固有振動数の設計——振動環境で最初に計算すべきこと

振動環境向けの格子を設計する際、私が最初に行うのは有限要素法(FEM)によるモーダル解析だ。設計した格子ユニットセルの固有振動数を算出し、想定される加振周波数帯域——たとえば航空宇宙用途なら5〜2000 Hz、産業機械なら10〜500 Hz程度——と十分な余裕をもって離すことが基本になる。具体的には、最低次の固有振動数が加振帯域の上限より少なくとも1.5倍以上高くなるよう、ストラット径とユニットセルサイズを調整する。相対密度を上げれば剛性と固有振動数は上がるが、重量も増す。ここでトポロジーの選択が効いてくる——等方性の高いオクテットトラス格子は固有振動数の空間的均一性において優れており、特定方向からの振動入力が予測できない場合に有利だ。一方、ジャイロイドのようなTPMS系は振動減衰特性に優れる傾向があり、エネルギー吸収が主目的なら候補に入る。

疲労設計のための安全係数——静的設計とどう変えるか

静的設計では安全係数1.5〜2.0を使うことが多いが、動的・疲労設計ではこの数字を機械的に転用してはいけない。格子構造の疲労強度は静的降伏強度の30〜60%に留まることが多く——材料、トポロジー、表面品質によって大きく異なる——したがって許容応力の基準点そのものが変わる。私が現在採用しているアプローチは、まず対象トポロジーの疲労試験データからS-N曲線を構築し、10⁷サイクルの疲労限度を設計応力の上限とし、さらに表面粗さ係数(Ra値から算出)と応力集中係数(ノード形状から算出)を掛け合わせた修正係数を適用することだ。AMで製造されたチタン格子の場合、HIP(熱間等方圧加圧)処理後で疲労限度が静的降伏強度の約45%、未処理では約30%という実測値が私たちの試験では得られており、後処理プロセスの選択が疲労設計に直接影響する。

実際の設計フローで気をつけるべき三つの判断点

実務的な観点から、私が繰り返しつまずいてきた判断点を三つ挙げたい。一つ目は「静的試験データだけで材料承認を出さないこと」——これは当然に見えて、スケジュール圧力がかかると省略したくなる誘惑がある。必ず代表的な動的荷重条件でのS-N曲線を最低限一本は取ること。二つ目は「ユニットセルサイズと疲労の関係を過小評価しないこと」——ユニットセルを小さくするとストラット径も細くなり、AM造形時の熱履歴が変わって微細組織と表面品質が劣化することがある。当研究室の経験では、セルサイズを2.0 mmから1.2 mmに縮小した際に疲労寿命が約40%低下したケースがあった。三つ目は「実環境の荷重スペクトルを可能な限り再現すること」——一定振幅の疲労試験だけでなく、ランダム振動試験やブロック荷重試験を組み合わせることで、実環境での損傷蓄積をより正確に予測できる。

この問いに向き合い続けることについて

静的と動的の間にある溝は、設計ツールが進化しても埋まりきらない部分が残り続けると、私は思っている。シミュレーションはますます精緻になり、マルチスケールFEMや機械学習を使った疲労寿命予測モデルも登場しているが、それらが正しいかどうかを最終的に判断するのは、やはり実験データだ。私がこのテーマに向き合うたびに感じるのは、格子構造という対象の奥深さ——幾何学、材料、製造プロセス、荷重環境が複雑に絡み合った系——が、単純な答えを許してくれないということへの、一種の尊敬の念だ。MeshLab 31では引き続き、実際の試験データと設計実践の間を往復しながら、この問いを掘り下げていくつもりでいる。

格子設計において「静的データで十分」という思い込みは、振動環境に置いた瞬間に崩れる——私はあの破砕音でそれを学んだ。設計者として誠実であろうとするなら、静的と動的、二つの試験が語る異なる物語の両方に耳を傾け続けることだと、今は確信している。次回は実際のS-N曲線データと、トポロジー別の疲労特性比較をもう少し詳しく取り上げたいと思っている。